2015年07月26日

私にだけ見える親友。(自作小説)

「嘘!!!そんなの絶対に嘘!!!」

その時の私は、素直に事実を受け止められなかった。

「結衣は本当に」

「わーわーわーわーわーわー!!!何言ってるの?今日はエイプリルフールじゃないんだよ?嘘をついても良い日じゃないんだよ?」

「友香・・・。」

私はただ、認めたくなかっただけなのかもしれない。昨日も一緒に遊んだ私の親友が亡くなっていたことを。




今年の夏は例年と比べて、とても暑く感じられた。セミは、ミーンミーンといまだに鳴き続けてはいるが、今日で8月も終わり、明日からは学校生活がまた始まる。

「今日から学校かー。」

友香は洗面所で顔を洗いながら、呟いた。それから朝食の準備をして、家族みんなで食事。そしてパジャマから、クーリニングを掛けておいた制服に着替え、登校の準備は整った。

「お母さん、行ってきまーす。」

いつもと変わらない母への呼びかけに、母は少し表情を曇らせ、それから、「いってらっしゃい」と笑顔で応えてくれた。

学校へ向かう途中にはいつも、親友が後ろから呼びかけてくるのだが、今日はどうやら寝坊をしたのか、声がかからない。そんな日もあるかと友香は思い、学校へと向かう。

学校の門をくぐり、靴を履きかえ、教室に着くと、そこにはいつもよりも早く、親友の姿があった。

「なーんだ、先に来てたんだ。私はてっきり寝坊でもしたかと思ったよ」

笑いながら友香は、親友の隣の席に着く。

「ねえ、聞いて、昨日弟がさー、私のプリン食べちゃったの!おまけに謝りなさいって言っているのに、謝らないし。本当にムカついたよー。」

「そうなんだ。プリン、食べられなかったんだ。」

親友の少し素っ気ない態度に、友香は少し疑問を持ち「どうしたの?」と聞いた。すると、「私にはあまり話しかけないほうが良いよ。」と返ってきたので、さらに疑問が深まる。

親友と話していたら、後ろからもう一人の親友である、理沙が声を掛けてきた。

「友香、どうしたの?独り言?風邪でも引いてるの?大丈夫?」

理沙が不思議なことを言ってきたので、「なに言ってるのよー、ちゃんと結衣と話してるじゃん。ねー、結衣。」と結衣に話しかけたら、あろうことか、結衣からは返事がなかった。

あれ?私、変なこといったかな。そう友香が思ったとき、クラスメイト全員が私に視線を向けているのを感じた。

友香は小学生のころ、クラスメイト全員から無視をされていた経験がある。その時の状況と、いまの状況がとてもよく似ていたため、結衣がクラスメイト全員から無視されているのではないかという結論に至った。

そして正義感に溢れる友香が、クラスメイト全員に向かい、大声を出そうとしたとき、隣の席に座る結衣から「やめて!!」という声が聞こえた。驚いた友香は、結衣に向かって「だって。」と言ったが、結衣は友香の顔を真剣な目で見ながらこう言ってきた。

「私、もう死んでるの。友香にしか私は見えてないの。だから、お願い。」

友香は一瞬、キョトンとするが、それが真実だとは到底思えなかった。なぜなら、結衣はここに確かに存在するし、私はちゃんと声だって聞こえる。だけど、結衣の姿が少しだけ、透けていることに気が付いた。

「私に触れてみたらわかると思う。友香は私には触れないから。」

結衣の言葉に半信半疑だったが、結衣に触れようとしたら、結衣の体を手がすりぬけてしまった。

「え?」

友香は何度も結衣に触れようとするが、何度も何度も何度も何度も・・・すりぬけてしまう。

その時、友香の目からは、一粒の涙がこぼれ落ちていた。

信じたくはなかった。だけどもう、信じないわけにはいかない。結衣は本当に死んでしまったんだ。そう思い、友香は立つことさえできなくなり、床に座り込んでしまう。それを見た理沙は、状況を察し、友香を抱きかかえる。

「私が死んだこと、やっと信じてくれた。私、友香に信じてもらうためにお願いして、時間をもらったんだ。だから、信じてもらえたから、もう行くね。大好きな友香がいつまで経っても、私の死と向き合おうとしなかったからいけないんだよ!まったく!」

結衣は笑顔で「バイバイ」と、手を振る。

「待って!!待ってよ結衣!!私、私、結衣ともっと話したい!!話したいから!!」

結衣は笑顔のまま、首を横に振り、最後の言葉を友香に渡した。

「友香、元気でね。」

その言葉を最後に、結衣はその場から消えてしまった。

友香はその後、理沙の胸で泣いていたが、やがて泣くのを止め、「結衣、バイバイ。」と言って、机に戻った。

終わり。



どうでしたか、この話。面白かったなーと思った方は、コメントをください♪

追記:色々と後から修正しました。途中から、友香という名前から美香になっていたので、そこを全て友香に変えました。
posted by ちょっとオタクなプー at 22:56| Comment(0) | 自作小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月19日

絶対に・・・。第四話

あれから3年が経った。僕は毎日毎日、修行に取り組み続けた。

師匠である悟さんからは「休むことも修行だ!」と言われ、強制的に月に数回は休まされたが、休みの日ですら、扉を開ける方法をひたすらに考えていた。

どうやら、あの扉のことについて、悟さんが持っている権限を使い、あらゆる資料を調べてくれたようだった。だが、誰が何の目的のためにあの扉を作ったのかすら、わからなかったらしい。そして資料には、一度扉を開け、帰ってきたものは何名も存在することが書かれていたが、二度も扉を開けられたという人は一人もいないとのことだった。

さらに驚くことがあり、悟さんもかつては一度、扉を開けていたらしい。そして、その時に出会った人物や、風景などと、僕が行った世界を比べてみたところ、どうやら僕が行った世界とは全くの別の世界だということがわかった。

それは資料の中にも、戻ってきた人のエピソードなどが書かれていたが、全ての人がそれぞれ全く別の世界に行っているようだった。

つまり、可能性としては、僕が再び扉を開けることができたとしても、同じ世界に行けるとは限らないということ。そして、そもそもが扉を開けられる可能性すら低いとのことだった。

だけど、そんな可能性など関係ない。僕は絶対に美香をこの世界に連れ戻さなければならない。なぜなら、絶対に連れ戻すと、美香に約束をしたから。

そして、そこからさらに半年後、僕は歴代最年少という若さで、魔法使い見習いを卒業した。そして、立派な魔法使いとなった。

正直、僕を指導していた悟さんですら驚いていた。扉から戻ってくる前までは、本当に魔法使いになれるのかすらわからないような成績だったのに、それから三年半で、ここまで成長できるとは正直思ってもいなかったらしい。

それだけ僕が努力を続けたということだ。それだけ美香が、僕にとっては大切な存在だということだ。

だけど、そんなことすら・・・どうでも良かった。僕が魔法使いになれたところで、美香を連れ戻せなければ意味などはないのだから。

けれども、実際には意味などなかったわけではないらしい。魔法使いになったことで、見習いでは見ることもできなかった資料が、見られるようになる。つまり、そこには僕が追い求めていた『答え』すら見つかる可能性だってあるということだ。

これで、また一歩・・・また一歩だけ、近づけたよ、美香。もう少し・・・もう少しだけ待っていてくれ。

・・・続く。

第一話へ移動。

第二話へ移動。

第三話へ移動。
posted by ちょっとオタクなプー at 22:09| Comment(0) | 自作小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月16日

絶対に・・・。第三話

提案を受けた美香は、驚くほどあっさりと承諾した。僕としては、少々迷ってほしいという気持ちもなくはなかったが、何よりも時間が惜しい。

美香と僕は、正面を向いて、輪を作るような感じで両手を繋いだ。そして、僕の魔力が美香へと流れていく。

「俺、美香と一緒に修行した日々はとても楽しかった。もう、会えないかもしれないけど、元気でな。俺もこの世界で元気に暮らすから。」

僕の魔力のほとんどは美香へと渡り、魔力を失った僕は、立っていることができなくなり、その場に座り込んでしまった。

そして・・・美香は言った。

「うん。地球に戻っても元気にやりなよ。実は私、涼太のことが好きだったんだー。気づかなかったでしょー。」

え?

僕は聞き間違えたのだろうか。それとも美香が言い間違えたのだろうか。もう一度聞き返そうとしたとき、美香は魔法を使い始めていた。

「美香!待て!その魔法は違うだろ!!」

「うんん。これで合ってるよ。涼太は地球に戻って、みんなと仲良くやりなよ。私には、悟さんと涼太しか大切な人がいないもの。涼太は家族も友達も、たくさん大切な人がいるよね。私が向こうに戻るよりも、涼太が戻った方が絶対に良いって!!だから、ここでお別れ。バイバイ、涼太。」

美香の魔法が僕の周りに結界を作っていく。そして、僕は浮かび上がり、そして扉の方へと移動していく。

「馬鹿!!なにやってるんだよお前!!なんで俺がお前を残して帰らないといけねーんだよ!!だったら俺もここに残るから、早く魔法を解け!!」

「うんん。そのお願いは聞けない。」

「馬鹿・・・お前・・・お前・・・。」

美香はこう見えて、とても頑固な性格なため、一度言ったことを取り消すことがなかなかない。そして、このままだと確実に僕は地球へと戻ることになる。だから・・・

「わかった。俺が絶対に絶対にお前を連れ戻しにここにまた来るから!!それまで絶対に死ぬんじゃねーぞ!!約束だ!!それまでサヨナラだ。わかったな、美香。」

「うん。バイバイ・・・涼太。大好きです。」

僕の身にまとった結界が扉の結界と溶け合い、そして気づいたときには、見覚えのある場所に僕はいた。そこは、悟さんから修行として言い渡された洞窟の中だった。

もう一度、扉に触れてみるが何も起こらない。

「馬鹿・・・美香・・・。」

そこから、フラフラになりながらも洞窟から出ることができ、そして、洞窟の入り口には悟さんがいた。

その後、散々怒られたが、僕は真剣にその説教を受けた。そして告げた。

「俺、これから本気で修行に取り組みます。そして、絶対に美香を連れ戻してきます。よろしくお願いします。師匠。」

そこから、僕の厳しい修行が始まった。

・・・続く。

第一話へ移動。

第二話へ移動。

第四話へ移動。
posted by ちょっとオタクなプー at 19:34| Comment(0) | 自作小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月15日

絶対に・・・。 第二話

僕たちは村人に連れられ、村長の家へとやってきた。その家は、周りの家と遜色などはなく、『偉い人の家』という感じは全くしなかった。

そして、しばらくすると、白いヒゲをモサモサと生やした老人が、その家から出てきた。

僕らはとりあえず、村長に事情を説明することとした。自分たちは違う世界の人間で、この世界に来た理由というのが、触れてはならないと師匠に言われていた扉に触れてしまったため、その中へと引きずり込まれ、そして、今に至る・・・と。

ざっくりとした説明で、これでは理解できないのではないか・・・と思ったが、村長はどうやら、その扉のことを知っていたらしい。そして、その扉のことについて詳しく述べてきてくれた。

村長が言うには、伝承ではその扉のことを、こう伝えられているらしい。異世界への扉・・・と。そして、その扉はもう一度だけ開くことができる。だが、扉を開くためにはその異世界の者だけが持つ魔力を扉に捧げることが必要であり、また、開くことができるのは異世界の扉が開いてから、太陽が沈むまで・・・と。

つまり、こういうことらしい。元の世界に戻るには、時間があまり残されていないということ。そして、太陽は既に沈み始めている。残された時間は・・・あと少し。

僕らは村長と村人にお礼を言うと、急いで来た道を引き返した。

だが、さすがに走って戻っていては時間がどうしても足りない。そのため、僕らは身体能力が急激に上昇する魔法を、魔力を惜しげもなく使い、扉の前へと戻ることとなった。

そして、辺りが夕暮れ時になり、やっと到着する。

僕らは村長に言われた通り、扉へと魔力を捧げ始めた。

そして、扉が少しずつ開いていき、しばらくすると完全に開ききった。

僕と美香は急いで中に入ろうとした。だが、扉の中に入ろうとすると、見えないものが邪魔をし、跳ね返されてしまう。

その時、美香は気付いた。扉の中へと入る方法を。

その方法とは、以前に師匠である悟さんから教わっていた、結界の中へと入る魔法。つまり、この見えない邪魔をしてくるものを結界であると美香は推測し、そして、その結界の中へと入る魔法を思い出したのだ。

そして、その魔法とは、結界と、自分の体の周りに生成した結界を中和することにより、その結界の中へと入るという魔法。そして美香は、僕にそのことを教えてくれた。

だが・・・この魔法を使うには、自分の体の周りに結界を生成する魔法が必要であり、そして、その結界と、扉に付いている結界を中和させるという魔法を使うため、少しは魔力が残っている必要があるのだ。なのに、この扉に戻ってくるまでに身体能力を急激に上昇させる魔法を使い、さらに扉に魔力を捧げたため、二人ともあまり魔力は残っていなかった。

だけど、方法がないわけではない。

二人とも、ほんの少しだけ魔力が残っており、そして、その魔力を片方に分け与えることで、一人だけでも結界の中へと通すことができる。

それに気付いたとき、僕は迷うことなく美香に魔力を分け与えることを提案した。

・・・続く。

第一話へ移動。

第三話へ移動。

第四話へ移動。
posted by ちょっとオタクなプー at 19:43| Comment(0) | 自作小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

絶対に・・・。 第一話

僕らは魔法使いの見習いである。

今日は僕らの師匠である悟さんから、修行として、とある洞窟で透明な石を取ってくるように命じられた。

師匠の命令は絶対である。そのため、僕と美香は嫌々ながら洞窟へと向かうこととなった。

洞窟の中に入ると、全身で不思議な感覚を味わうこととなった。それだけこの洞窟は、魔力を帯びているということだろう。

そして、地図通りに歩みを進め、3時間後にやっと透明な石が置かれている盃を見つけることができた。

これで今回の修行は達成だ。簡単だな。そう思っていたところ、盃の後ろにある扉がとても気になり始めた。

悟さんからは『その扉は絶対に触れてはならない』と言われていたが、僕と美香は興味を持ってしまったため、触れてしまった・・・。そして・・・その扉が開き、僕と美香は扉の中へと引きずり込まれた。

「いてててて・・・美香、大丈夫か?」

「うん。私は大丈夫。涼太は?」

「俺も大丈夫だ。ところで、ここはどこなんだ?」

二人とも辺りを見渡したが、周りには大きな扉と、見たこともない植物などが生い茂っていた。

なんとか立ち上がると、二人は扉を開こうと必死に押したり引いたりするが、一向に開く気配がない。

「どうする?」と、僕が美香に相談をすると、美香は「とりあえず辺りを調べましょ」とやる気になっていた。どうやら美香の知りたがり屋スイッチが入ってしまったようだ。

辺りを調べてみたところ、見たこともない文字で書かれた道しるべみたいなものがあり、とりあえず矢印の方向へと進むことにした。

道を歩きながら僕は「きっと師匠が気づいてくれるはずだ。気づいてくれたらきっと助かる。」そう自分に言い聞かせ、そして、「その間は美香を何としても守る」と心の中で誓った。

歩くこと5時間。やっと人が住んでいそうな村を見つけることができた。

村の中に入ってみると、ウサギのような耳を付けている村人を見つけることができた。そして、話しかけてみることにしたのだが、いざ、話しかけてみると、今までで聞いたことのないような言語が村人の口から出てきた。

僕と美香は、魔法使いの見習いではあるが、本当に初歩の初歩である、テレパスという魔法を使うことができる。この魔法は、使用している間はどのような言語だろうが、宇宙人が相手だろうが、意思疎通を行うことができる。そのため、こういった時にはとても有り難い魔法ではある。

僕らはテレパスを使い、村人と意思疎通を行うことに成功した。そして、ある事実を知ることとなった。それは、この世界は僕らの住んでいる世界とは全く違う世界であるということ。僕らのような人を見たのは初めてだということ。

それからのこの村人は、僕らを村長にへと会わせてくれることとなった。そこで色々と聞けばいいと。

・・・続く。

第二話へ移動。

第三話へ移動。

第四話へ移動。
posted by ちょっとオタクなプー at 09:16| Comment(0) | 自作小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする