2014年11月29日

母。

半年間ずっと家に閉じこもっていた息子が、再び学校に通いだしてから一か月が経った。

久しぶりの登校日はとても不安そうで、私は無理して行かなくてもいいんだよ?と言ったのだけど、息子は笑顔で学校へ出かけて行った。

それから徐々に慣れてきた様子で、家での会話も学校のことを多く話すようになってきた。

そして最近、気になることができた。

今まで毎日のように話していた学校の話しを、ここ一週間は全くしてこない。

なにかあったのかな。心配だな。そう思っていたけど、実際に聞いてみることをためらってしまった。

それから一週間後、とても暗い表情をして息子が帰ってきた。

そして何があったのか勇気を出して聞いてみたのだけど、「別に」の一言で片づけられ、そこから部屋に閉じこもり、夕飯の時にも部屋からは出てこなかった。

それからまた、息子は閉じこもるようになった。

私は学校から事情を聞こうと赴き、そして担任から話しを聞いた。

「太郎くんはどうやらまた、イジメられている・・・みたいなのです。」

私は絶句した。あれだけ担任には気を付けるように念を押していたというのに。しかも私に何も連絡を入れないなんて。信じられない。そんな思いで頭の中がいっぱいになった。

家に帰ると、私は息子の部屋を二回ノックし、そして、「入るわよ」と断ってから中へと入った。

部屋の中はカーテンが閉じてあり、明りも点いておらず、真っ暗だった。

そして、ベットの上で頭から布団をかぶり、震えている息子がいた。

私はどうしたらいいのか悩んだけど、優しく語りかけることにした。

「いまあなたが居るのは家の中だから、そんなに怖がることはないわ。例え何があったとしても必ずお母さんが守ってあげるから。だから安心しなさい。」

息子の震えがだんだんと小さくなっていき、止まった。そして、「ありがとう、お母さん」という声が返ってきた。私はその時に決心をした。この子は、太郎は絶対に私が守ると。

それからはとにかく必死だった。私が息子のためにいまできること。息子が安心して生活をしていくにはどうすればいいのかということ。

色々と考えた末、いま住んでいる町から引っ越すことに決めた。

その引っ越し先として選んだのが、私が中学時代に通っていた、恩師が校長を努める中学校の近く。

この恩師というのは、私が絶対的な信頼を寄せている人でもあった。

一度電話で相談をした際、「うちの学校へ通わせないか?」と言われたのがきっかけだった。




それから1年後、息子は無事に中学校を卒業することができた。しかもあれから一度も欠席をしないで。

毎日、「楽しい楽しい」と言ってくれる息子の笑顔で、私は引越しを決めて良かったと思った。

おわり。



どうでしたか?この作品は。面白かったら感想をくださいな♪
posted by ちょっとオタクなプー at 21:47| Comment(0) | 自作小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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